患者の選択:認可ジェネリック薬は選ばれるのか?

病院で処方された薬を薬局で受け取ったとき、パッケージにブランド名がなく、代わりに「ジェネリック」と書かれているのを見たことはありませんか?でも、そのジェネリックが、実は元のブランド薬と同じ工場で、同じ薬剤師が作っているものだと知ったら、どう思いますか?これが認可ジェネリックです。

認可ジェネリックって何?

認可ジェネリックは、ブランド薬と同じ成分、同じ形、同じ色、同じ製造工程で作られた薬です。違いは、パッケージにブランド名がついていないだけ。製造元は、ブランド薬と同じ会社です。FDAのOrange Book(医薬品登録簿)では、このタイプの薬は「申請者なし」として分類されます。なぜなら、ブランド薬の新薬申請(NDA)の下で販売されているからです。

普通のジェネリック薬は、別々の会社が新薬の特許が切れたあとに、効果が同じであることを証明するために、18〜24ヶ月かけてFDAに申請します。でも認可ジェネリックは、そのプロセスをスキップできます。ブランドメーカーが自社で作って販売するので、FDAはすでにその薬の安全性と有効性を認可済み。つまり、化学的に完全に同じです。

患者は本当に認可ジェネリックを選ぶの?

2018年にFDAが21万人以上の患者を追跡した研究では、ブランド薬から認可ジェネリックに切り替えた患者のうち、22.3%がまたブランド薬に戻りました。一方、普通のジェネリックに切り替えた患者の場合は、28.7%が戻っています。この差は統計的に意味があります。つまり、患者は認可ジェネリックを「本物に近い」と感じているのです。

Consumer Reportsが2022年に1,200人の処方薬使用者に実施した調査では、ラベルを隠して薬を渡したところ、78%の人が認可ジェネリックとブランド薬の違いがわからなかったのに対し、普通のジェネリックとブランド薬の違いがわかる人は52%でした。薬の見た目や飲み心地がまったく同じだからです。

Redditのr/pharmacyでは、2022年に「認可ジェネリックと普通のジェネリック、違いはある?」というスレッドが87件のコメントを集めました。そのうち63%が「どちらも同じに感じた」と答え、28%は普通のジェネリックでも問題なかったと述べています。患者の多くは、薬の効果や副作用に違いを感じていないのです。

でも、値段が安いのは普通のジェネリック

でも、認可ジェネリックが完璧な選択肢かというと、そうではありません。問題は価格です。

認可ジェネリックは、ブランド薬の特許が切れてから最初の180日間、市場に登場します。この期間、ブランドメーカーが自社のジェネリックを販売することで、価格を4〜8%下げます。でも、この180日が終わると、他のジェネリックメーカーが参入して、価格がさらに下がります。その結果、普通のジェネリックは認可ジェネリックより15〜25%安いのが普通です。

アメリカの調査会社AmerisourceBergenのデータによると、180日後の市場シェアは、普通のジェネリックが65〜75%を占めます。認可ジェネリックは35〜40%程度。つまり、価格が決定的な要因になるのです。患者が「安い薬」を選ぶなら、普通のジェネリックが勝ちます。

薬剤師が患者に薬を渡し、思考の中にブランドとジェネリックの違いを示す。

なぜ認可ジェネリックは存在するの?

ブランドメーカーが、自社の薬をジェネリックで売る理由は、単に「患者のため」だけではありません。

連邦取引委員会(FTC)の2011年報告書では、ブランドメーカーが「認可ジェネリックを出す」という脅しを使って、他のジェネリックメーカーと「市場参入を遅らせる」取り引きをしているケースがあると指摘されています。つまり、他のメーカーがジェネリックを出さない代わりに、ブランドメーカーが自社でジェネリックを出して、市場を独占するという戦略です。

この戦略は、ブランドメーカーにとって利益があります。特許が切れたあとでも、収益を維持できるからです。2022年のHealth Affairsの研究では、認可ジェネリックが市場に登場すると、他のジェネリックメーカーの売上は30%以上減るというデータもあります。

一方で、患者にとっては、最初の180日間は価格が下がるため、メリットがあります。Entacaponeという薬のケースでは、認可ジェネリックが登場したことで、メディケアの価格が最大18.2%下がりました。これは、患者の負担が減ったことを意味します。

薬局でどう選ばれる?

実は、患者が「認可ジェネリックを選ぶ」ことは、ほとんどありません。

保険会社やPBMs(薬剤サービスマネージャー)が、どの薬を処方するかを決めています。2022年のKFFの調査では、商業保険の82%が、ジェネリック薬(認可・普通の両方)を自動的にブランド薬に置き換えています。患者や医師が「ブランド薬が欲しい」と言っても、ほとんどの場合、事前の承認が必要です。

薬剤師は、認可ジェネリックと普通のジェネリックの違いを説明する必要があります。でも、多くの患者は「ジェネリック=安い薬」で、その中でも何が違うのかまで気にしません。薬のパッケージに「認可ジェネリック」と書かれていることは、ほとんどありません。薬局のシステムでは、名前が「ブランド名+ジェネリック」と表示されるだけで、患者は気づきにくいのです。

大手製薬会社がジェネリックで市場を独占し、小さな競合を押し退ける様子。

認可ジェネリックは将来どうなる?

2023年のFDAの草案では、認可ジェネリックの識別をもっと明確にするためのガイドラインが発表されました。2022年には、ジェネリック薬のユーザー手数料法が改正され、認可ジェネリックの道筋にも影響が出始めています。

現在、米国では認可ジェネリックが全ジェネリック薬の12%を占め、2015年の8%から増えています。Evaluate Pharmaの予測では、2028年までに15〜18%まで成長すると見られています。特に心臓病や中枢神経系の薬で、この傾向が強いです。

しかし、議会予算局(CBO)は警告しています。もしブランドメーカーが認可ジェネリックを使って、本格的なジェネリックの市場参入を遅らせ続けるなら、メディケアDプランの患者が2027年までに年間12億ドルも余分に支払う可能性がある、と。

結局、患者はどうすればいい?

認可ジェネリックは、ブランド薬とまったく同じです。副作用や効果の違いを心配する必要はありません。もし、薬を変えて体調が悪くなった経験があるなら、認可ジェネリックは安全な選択肢です。

でも、価格が一番大事なら、180日後の普通のジェネリックが安いです。薬局で「認可ジェネリックですか?それとも普通のジェネリックですか?」と聞いてみましょう。薬剤師は、どちらが安いか、どちらが保険で使えるかを教えてくれます。

あなたの薬が認可ジェネリックかどうかは、FDAの「Products with No Applicant」リストで確認できます。でも、実際には、薬局が渡す薬をそのまま飲めばいいのです。効果が変わらないなら、値段が安い方を選ぶのが、賢い選択です。

認可ジェネリックは、患者にとっての「安心」を提供します。でも、市場では、企業の戦略の道具でもあります。患者が「選ぶ」のではなく、保険と薬局が「決める」世界で、自分が何を飲んでいるかを知ること。それが、本当の選択の第一歩です。

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