子供が熱を出したとき、親としてまず考えるのが「どの薬をどれだけ与えればいいのか」です。アセトアミノフェンとイブプロフェンは、どちらも小児の発熱や痛みに使われる代表的な薬ですが、違いを正しく理解していないと、効果が十分に出なかったり、逆に危険な状態になることもあります。
どちらが熱を下げやすい?
イブプロフェンは、アセトアミノフェンよりも熱を下げる効果が強いというデータが複数の研究で確認されています。2021年のメタアナリシスでは、4時間後に熱が下がった子供の割合が、イブプロフェンの方が12.5%高かったことが示されています。さらに、6時間後にはその差が18.5%にも広がります。つまり、同じ体重の子供に同じ量を投与した場合、イブプロフェンの方が「熱がずっと下がりやすい」のです。
これは、薬の持続時間が違うからです。イブプロフェンは体内で1.8~2時間働くのに対し、アセトアミノフェンは1.25~3時間と幅がありますが、平均的には短めです。そのため、イブプロフェンは1回で長く効き、夜間の熱を抑えるのに有利です。一方、アセトアミノフェンは30~60分で効き始め、早く熱を下げるには向いていますが、その効果は短い傾向があります。
安全性:どちらがリスクが少ない?
昔は「アセトアミノフェンは肝臓に負担をかけるから、イブプロフェンは腎臓に悪いから」と、どちらも危険だとされていました。しかし、2014年以降の複数の大規模研究では、正しい用量で使えば、両者の副作用の発生率に「有意な差がない」ことが明らかになっています。
ただし、年齢によって使用制限があります。米国小児科学会(AAP)は、アセトアミノフェンは生後3か月未満の赤ちゃんには使わないこと、イブプロフェンは生後6か月未満には使用しないことを推奨しています。これは、赤ちゃんの肝臓や腎臓がまだ未発達で、薬を処理する能力が十分でないためです。特にイブプロフェンは、脱水状態の赤ちゃんでは腎臓に負担がかかる可能性があるため、医師の診断なしに与えないでください。
一方で、アセトアミノフェンには別のリスクがあります。2022年のヨーロッパ呼吸器学会の研究では、生後1年以内にアセトアミノフェンを使った赤ちゃんは、その後アレルギー性喘息を発症するリスクが1.6倍高くなる可能性があると報告されています。この関連性はまだ完全には解明されていませんが、繰り返し使う場合は注意が必要です。
正しい用量は?体重で決めるのが鉄則
多くの親が「1歳だから」「2歳だから」と、年齢で薬の量を決めがちです。しかし、これは大きな間違いです。2021年の調査では、2歳未満の子供の薬の誤用量の68%が「年齢で決めた」ことが原因でした。
正しい用量は、体重(kg)で計算します。
- アセトアミノフェン:1回あたり7~15mg/kg。1日最大75mg/kg。4~6時間ごとに投与。
- イブプロフェン:1回あたり4~10mg/kg。1日最大40mg/kg。6~8時間ごとに投与。
例えば、8kgの赤ちゃんの場合:
- アセトアミノフェン:56~120mg(通常の液体薬は160mg/5mLなので、1.75~3.75mL)
- イブプロフェン:32~80mg(通常の液体薬は100mg/5mLなので、1.6~4mL)
薬の瓶に付いているスプーンやシリンジは、必ずその薬専用のものを使用してください。市販のスプーンやキッチンの計量スプーンは、正確さに欠けます。FDAは2020年から、小児用薬には必ず「計量装置」を同梱することを義務づけていますが、古い薬を使っている家庭ではまだ誤った器具を使っているケースが後を絶ちません。
交互に使うのは安全?
「熱が下がらないから、アセトアミノフェンとイブプロフェンを交互に使おう」と考える親は多いです。BabyCenterの2022年の調査では、63%の親がそうしていると答えています。
しかし、これは医師の指導なしには推奨されません。交互使用は、薬の量やタイミングを間違えやすく、過剰摂取のリスクが高まります。特にアセトアミノフェンは、肝臓に負担をかける薬です。1日75mg/kgを超えると、急性肝不全の危険があります。2021年の研究では、6歳未満の子供のアセトアミノフェン関連肝障害の29%が、風邪薬や咳止めと併用して過剰摂取したことが原因でした。
もし、1つの薬で熱が下がらない場合は、まず1回分の効果が切れるまで待ってから、同じ薬をもう1回与えてください。それでも熱が下がらないなら、医療機関に相談してください。
注意すべき製品と危険な習慣
市販薬のラベルをよく見てください。「小児用アセトアミノフェン」だけを選びましょう。風邪薬や咳止めには、アセトアミノフェンが含まれていることが多いです。それらを一緒に与えると、気づかないうちに過剰摂取になります。
また、大人用の薬を薄めて使うのは絶対にやめてください。2022年の中毒データでは、小児の薬物中毒の17%が大人用薬の誤用が原因でした。大人用のアセトアミノフェンは1錠あたり325mg~500mg。赤ちゃんに1錠与えたら、致死量に達する可能性があります。
さらに、薬の与え方にも注意が必要です。子供を横向きや仰向けに寝かせて薬を飲ませると、誤嚥(ごえん)して肺炎を起こすリスクがあります。Boston Children's Hospitalのガイドでは、子供を背筋を伸ばして座らせ、頭を少し後ろに傾けた状態で薬を与えることを推奨しています。シリンジは頬の内側にゆっくりと流し込み、飲み終わるまで待ってから口を閉じさせましょう。
市場の実態:どれが一番使われている?
2023年の市場調査では、日本を含む先進国で、小児用発熱薬の58%はアセトアミノフェン、42%はイブプロフェンです。しかし、都市部ではイブプロフェンの使用率が68%と高く、地方ではアセトアミノフェンが61%と優勢です。これは、都市の医療機関で最新のガイドラインが広まっているためです。
価格面では、ブランド薬(例:小児用タイレノール、モートリン)とジェネリック薬の差は大きくありません。ジェネリック薬は全体の76%を占め、効果は同じです。薬局で「ジェネリックでも大丈夫ですか?」と聞けば、薬剤師が正しい用量を教えてくれます。
今後の動向:2025年にはガイドラインが変わる?
米国小児科学会は、2025年1月に小児の発熱治療ガイドラインを更新する予定です。特に、生後6か月未満の赤ちゃんへの薬の使用について、新たなデータが加わる見込みです。2024年から始まった「PAIN-RELIEF」臨床試験では、1,200人の赤ちゃんに正確な体重ベースの用量を投与し、安全性と効果を検証しています。
また、アセトアミノフェンと喘息の関連性について、FDAは2024~2025年に審議を予定しています。今後、生後1年以内の赤ちゃんへの使用を制限する可能性も出てきています。
今のところ、両方の薬は2030年まで小児の発熱・痛みの第一選択薬として使い続けられる見込みです。重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「正しい使い方」を知ることです。
生後3か月未満の赤ちゃんにアセトアミノフェンは使えますか?
生後3か月未満の赤ちゃんには、医師の診断なしにアセトアミノフェンを与えないでください。肝臓の機能が未発達で、薬の代謝が十分にできず、重篤な副作用のリスクがあります。熱がある場合は、すぐに小児科を受診してください。
イブプロフェンは胃を荒らすと聞きましたが、本当ですか?
はい、イブプロフェンは胃腸への刺激がアセトアミノフェンよりやや強いです。Redditの親のコミュニティでは、32%の人が胃の不快感を報告しています。空腹時に与えると胃の不快感が出やすくなるため、食後かミルクの後に与えるのがおすすめです。ただし、正しい用量なら重篤な胃腸障害は稀です。
薬の計量スプーンが壊れたんですが、代用できますか?
代用は絶対にやめてください。キッチンのスプーンやティースプーンは、正確な量を測れません。薬局で無料の計量シリンジを貰ってください。日本では、小児用薬の計量装置は薬局で無料で配布されています。正しい量を守ることが、子供の安全を守る第一歩です。
熱が下がったから、薬をやめてもいいですか?
熱が下がっても、痛みや不快感が残っているなら、薬を続ける必要があります。発熱は症状の一つで、病気の原因ではありません。風邪や耳の感染症など、痛みが続く限り、必要に応じて薬を投与してください。ただし、72時間以上使い続ける場合は、必ず医師に相談してください。
アセトアミノフェンとイブプロフェン、どちらを先に使った方がいいですか?
どちらからでも構いません。ただし、初めて使う場合は、アセトアミノフェンから始めるのが安全です。理由は、イブプロフェンは腎臓への影響が心配されるため、生後6か月未満の赤ちゃんには使えないからです。6か月以降なら、イブプロフェンの方が熱を下げる効果が強いので、熱が高い場合はイブプロフェンを優先しても問題ありません。
コメント
Hiroko Kanno
23 1月 2026これめっちゃ役立つ!特に体重で決めるってところ、つい年齢で適当にやってたから涙出た😭
うちの子8kgだから、イブプロフェンは1.6~4mLか~スプーンじゃなくてシリンジ使うようにする!
kimura masayuki
24 1月 2026アセトアミノフェンはアレルギー喘息のリスクあるって?それなら日本はもうイブプロフェン一択でいいじゃん!
アメリカの研究に踊らされるなよ!我々の子供は日本製の薬で育てるべきだ!
ジェネリックで十分だろ?ブランドに金払うな!
医者に頼るな!親が知識持てばいい!
この国は薬に頼りすぎだ!熱くらい放っておけ!
雅司 太田
26 1月 2026kimuraさんの意見、ちょっと過激だけど、実は私も以前は熱出たらすぐ薬って思ってた。
でも、息子が3ヶ月で熱出して病院行ったら、『3か月未満は絶対に薬やめろ』って言われて、ショックだった。
今では熱が38.5超えたらまず冷やして、1時間様子見。それでも下がらないなら、薬を慎重に使うようにしてる。
親って、無意識に不安で行動しちゃうんだよね。
Hana Saku
26 1月 2026『正しい用量は体重で』って書いてあるのに、『8kgの赤ちゃんの場合』って例示してるのに、なぜか『1.75~3.75mL』って書いてる?
160mg/5mLで8kgなら7mg/kg×8=56mg、15mg/kg×8=120mg → 1.75mL~3.75mLって合ってるけど、
『~』って書くなら『約』とか『目安』って付けなきゃ誤解招くでしょ?
この記事、情報は良いけど、書き方が雑すぎる。医療情報はこうやって誤解を生むから危ない。
Mari Sosa
27 1月 2026日本だと『薬は怖い』って思ってる親多いけど、ちゃんと使えば安全。
逆に『使わない』で熱が長引いて、耳の感染が悪化したら、もっと大変だよ?
薬は道具。使い方を知れば、子供を守れる。
薬局の薬剤師さん、本当に親切だから、気軽に聞いてね!😊
kazu G
28 1月 2026本稿は、小児発熱治療における薬物選択および用量算出に関する現行の臨床ガイドラインを正確に反映している。特に、体重基準用量の強調および計量器具の使用義務は、国際的な標準に合致している。併用・交互使用の禁止は、薬物過剰摂取のリスク低減に極めて重要である。医療従事者および保護者に対する啓発は継続的に行う必要がある。
Maxima Matsuda
28 1月 2026ああ、『交互に使う』って言ってる親、めっちゃ多いよね。
『熱が下がらないから、次はイブプロフェン!』って、まるでゲームのアイテム交換みたい。
でも、薬はドラクエじゃないんだよ~。
肝臓が『おやすみ』って言ってるのに、無理やり起こして、『もう一回!』って叫ぶの、やめようね?
…って、ちょっと怒っちゃったw
kazunori nakajima
30 1月 2026計量シリンジ、薬局で無料って知らなかった!
これ、今すぐ行ってきます!
スプーンで測ってたの、やばかった…😭
Daisuke Suga
30 1月 2026この記事、めっちゃ深くて感動したよ。ただの薬の使い方じゃなくて、親の不安と社会の構造まで突いてる。
『年齢で決める』って、実は『面倒くさいから』『医者に聞けないから』『ネットで見たから』って、無意識の怠惰なんだよね。
ジェネリックが76%って、日本って本当に賢い国だなって思った。
薬剤師が無料でシリンジくれるって、他の国に誇れる制度だよ。
でも、『アセトアミノフェンと喘息』の関連性、まだ解明されてないって書いてあるけど、それって『因果関係は不明だけど、リスクは実在する』ってことだよね?
つまり、『可能性があるなら、使わない選択肢』も、親の責任なんだよ。
子供の体は、たった1回の過剰投与で、一生の後遺症になる可能性がある。
だからこそ、『正しい用量』って、単なる数字じゃなくて、命を守る儀式なんだよ。
この記事、ただの情報じゃなくて、親としての覚悟を問うている。
俺、これ、友達に送る。