薬剤名 | 尿酸低下効果 | 腎機能への影響 | 肝機能への影響 | 副作用 |
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痛風や高尿酸血症の治療を始めるとき、まず目にするのがアロプリノール比較です。ここでは、アロプリノールはキサンチン酸化酵素阻害薬で、体内での尿酸産生を抑える薬ですを中心に、主要な代替薬を実際の臨床使用を踏まえて比較します。
アロプリノールはキサンチン酸化酵素(XO)を阻害し、プリン代謝の最終段階での尿酸生成を減少させる経口薬です。標準投与は100〜300mg/日で、血中尿酸値を30〜40%低下させます。副作用としては皮疹や過敏症、肝機能障害が報告されていますが、長期使用実績が豊富で費用も比較的安価です。
以下に、アロプリノール以外で臨床で使用される主要な薬剤を紹介します。
フェブキソスタットはXO阻害薬の一種で、アロプリノールに比べて腎機能の影響を受けにくく、強力な尿酸降下効果がある薬です。初期用量は40mg/日で、必要に応じて80mg/日まで増量します。肝酵素上昇や心血管リスクに注意が必要です。
プロベネシドは尿細管の尿酸再吸収を阻害し、尿酸排泄を促進する薬です。通常300mgを1日2回投与し、腎機能がある程度残っている患者に有効です。腎結石のリスクが高まる点に留意します。
レシナラドはURAT1阻害薬で、フェブキソスタットと併用して尿酸排泄をさらに高めます。1日1回200mgが一般的で、腎機能低下患者には慎重に使用します。
ペグロチカゼは尿酸分解酵素(ペルオキシダーゼ)を補充する注射薬で、重症痛風や腎機能が極端に低下している患者に使われます。1回30mgを月1回投与し、急速に尿酸値を下げますが、免疫抑制や感染リスクが増大します。
トピロキサトはXO阻害薬で、日本国内で比較的新しく承認された薬です。1日40〜80mgで、特に腎機能が低下した患者にも安全性が評価されています。
薬剤選択の際に見るべきポイントは次の通りです。
薬剤名 | 作用機序 | 平均尿酸低下率 | 主な副作用 | 腎機能への注意 | 投与形態 | 価格帯(月額) |
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アロプリノール | XO阻害 | 30〜40% | 皮疹、肝機能上昇 | 腎障害で用量調整必要 | 経口、1日1〜2回 | ¥1,000〜¥2,000 |
フェブキソスタット | XO阻害(高選択性) | 40〜50% | 肝酵素上昇、心血管リスク | 腎機能影響少ない | 経口、1日1回 | ¥5,000〜¥8,000 |
プロベネシド | 尿酸再吸収阻害(URAT1) | 20〜30% | 腎結石、胃腸障害 | 腎機能が残存していることが前提 | 経口、1日2回 | ¥3,000〜¥5,000 |
レシナラド | URAT1阻害(フェブキソスタット併用) | 10〜15%追加低下 | 尿路結石、肝酵素上昇 | 腎機能低下で用量減量 | 経口、1日1回 | ¥4,000〜¥6,000 |
ペグロチカゼ | 尿酸分解酵素補充 | 70〜80%(瞬時) | 注射部位反応、感染リスク | 腎機能に依存しない | 注射、月1回 | ¥30,000〜¥45,000 |
トピロキサト | XO阻害 | 35〜45% | 肝機能障害、皮疹 | 腎機能低下でも使用可能 | 経口、1日1回 | ¥6,000〜¥9,000 |
患者の背景によって選択肢は変わります。以下の例を参考にしてください。
どの薬でも開始前に血液検査(肝機能、腎機能、血算)を行い、3か月後に尿酸値と副作用の有無を再評価します。特にアロプリノールは皮膚反応(スティーブンス・ジョンソン症候群)が稀に報告されているため、発疹が出たら即中止し、代替薬へ切り替えます。
フェブキソスタットは開始時に心血管イベントリスクが上昇する可能性があるため、心疾患既往者は慎重に投与し、心電図と血圧をモニタリングします。
プロベネシドとレシナラドは水分摂取を推奨し、結石予防のためにクエン酸塩の併用を考慮してください。
ペグロチカゼは注射部位の感染防止のために無菌的に投与し、投与後1週間以内は免疫抑制状態のチェックを行います。
平均的な尿酸低下率はフェブキソスタットが40〜50%、アロプリノールが30〜40%とやや上回ります。ただし個人差が大きく、腎機能や併用薬の有無で選択が変わります。
腎機能が著しく低下している場合は用量調整が必要です。eGFRが30以下の場合は代替薬(フェブキソスタットやトピロキサト)を検討すべきです。
日本の保険では、重症痛風や腎機能が極端に低下したケースに限り適用されます。医師の診断書が必要です。
水分を1日2リットル以上摂取し、クエン酸飲料や柑橘系フルーツを取り入れると結石リスクが下がります。定期的な尿検査で尿酸結晶をチェックしてください。
腎機能が低下している高齢者や、アロプリノールやフェブキソスタットで副作用が出た患者に適しています。血中濃度が安定しやすく、服薬回数が少ない点もメリットです。
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