札幌ビタミンC薬局
アシトレチンの適切な服用量とは?乾癬治療でバランスを見つけよう
志保 野口

志保 野口

激しいかゆみ、赤み、白く盛り上がる皮膚。乾癬の辛さは、なった人にしか伝わりません。みんな同じ治療法が効くわけじゃなくて、人によって薬の量も反応も様々です。アシトレチンは、乾癬で長く使われてきた薬。じゃあ、どのくらいの量を飲めば「ちょうどいい」のでしょう?「副作用が怖い」「効かなかったらどうしよう」、そんな気持ちを抱えている人、私も最初は不安でした。でも、知れば知るほどコントロールできることが見えてきます。

アシトレチンってどんな薬?特徴を知ろう

アシトレチンは、日本では主に重症や難治性の乾癬に使われる飲み薬です。ビタミンA系の成分(レチノイド)で、肌の新陳代謝を正常に近付ける効果があります。大人に処方される理由は、胎児への影響が特に強いため、妊娠中や妊娠を希望する人には禁忌とされています。また、肝臓機能に影響を与えることも知られていて、長期使用の場合は必ず定期的な血液検査がセット。乾癬でよく処方されている外用剤や光線治療と併用されることも多いです。

ここで一つ面白い事実。アシトレチンの開発は1970年代にまで遡ります。日本で使えるようになったのは1990年代。今も改良されつつある定番の飲み薬なんです。でも、服用中に気をつけるべきことがたくさんあるのが難点。「少しでも多く飲んだ方が効く」というものでもありません。だからこそ、主治医と細かく相談しながら飲む量やタイミングを調節していきます。

大事なのは、服用を始める前に十分な説明を受け、自分の体調や生活スタイルをしっかり伝えること。「合わなかったらどうする?」「サプリは飲んでいい?」そんな小さな疑問も、治療を続けるための大切な一歩です。

服用量の決め方:みんな同じじゃない

アシトレチンの最適な投与量は、体重や症状の重さ、血液検査の結果などをもとに、主治医が1人ずつ調整します。最初から高い量を飲ませることはほとんどありません。第1選択肢が外用薬や光線療法で、それだけではコントロールが難しい場合に加えられる形です。

標準的なスタートは10~20mg/日。多くても25mg/日くらいが初期の一般的な量。体重別で考えることもあって「1日1kgあたり0.5mg」なんていう計算方法も使われます。けれど、最初の数週間で副作用が強く出たら、すぐにけずられることもよくあります。

「薬が効いている目安が分からない」という声もよく聞きます。少なくとも4週間、通常は8週間くらいかけてじわじわ効果が現れてくることが多いです。特に爪や関節型の乾癬だと、もう少し長期間必要になることも。目に見える変化がなくても、最初の3ヶ月は自己判断でやめないことが大切。

ポイントは、「血液検査や診察の頻度が高め」なこと。危険な副作用が指摘された場合はすぐに中止します。そのため、普通は治療開始から1ヶ月ごとに血液検査を受け、その後も3ヶ月ごとなど、定期的に数値を追いかける仕組みになっています。肝機能、脂質(コレステロールや中性脂肪)、骨の代謝などもチェックポイントです。

投与量の目安 (mg/日)体重例 (kg)血液検査の頻度主な副作用管理
10-2040-601ヶ月ごと肝機能、脂質
25-3060-802週間ごと~1ヶ月ごと皮膚乾燥、口腔内炎、かゆみ
副作用とその対策:知っておけば怖くない

副作用とその対策:知っておけば怖くない

アシトレチンで最もよく経験する副作用は、皮膚や唇の乾燥、口の中の荒れ、髪のパサつきです。実際に使っている患者さんの7割以上は、何かしらの乾燥症状を感じています。でも、しっかりとスキンケアやリップクリーム、保湿剤の併用で乗り切れることが多いです。ひどいときは主治医に伝えれば、量の調整や軟膏の追加もしてくれます。

骨密度の低下や肝機能異常、脂質異常症も要注意ポイント。日本皮膚科学会の報告によると、1年以上投与した場合、コレステロール・中性脂肪が平均15~20%上昇したケースがあります。体質によっては内服開始数週間で、肝機能の数値が一気に悪くなることも。定期的な採血と自覚症状の早期報告が何より大事です。

また、アシトレチンは胎児への影響が大きいため、女性は服用終了後最低2年間は避妊を徹底しなければいけません。男性でも精子への長期的な影響は報告されていませんが、家族計画を立てている場合は早めに担当医に相談を。

たまに「アシトレチンはお酒がNGって本当?」と聞かれます。実は、飲酒がダメというより、アルコールを一緒に摂ることで薬物代謝が変化し、副作用が出やすくなるから注意喚起がされています。実際には、適量(日本酒1合以下、ビール1本程度)で様子を見て、体調が崩れない範囲であればOKとされることもあります。でも連日大量飲酒は本当に危険。肝臓に負担がかかると取り返しがつきません。

治療効果を高めるためにできること

アシトレチン治療で一番多い悩みは「毛や肌がカサカサする」ことと、「本当に効いてるのか不安」。効き始めるまで時間がかかるので、焦りがストレスになることもあります。日々のケアにおすすめなのが、保湿剤の継続利用と規則正しい生活リズムづくり。乾癬はストレスや睡眠不足でも悪化します。

実際、名古屋市内の皮膚科クリニックでアシトレチンを処方された患者さんのアンケートでは、「薬だけに頼らず、軽い運動や趣味を増やしたときに治療継続がしやすかった」という声が多かったです。ウォーキングやストレッチも、乾癬の症状悪化を防ぐ効果があるんです。

また、『日焼け』については注意。ビタミンA系の薬なので、紫外線の影響を受けやすく、日差しの強い時期には外出時に肌をしっかり覆う、日焼け止めを塗るのが基本です。名古屋の夏はとにかく暑いですが、日中の外出はできるだけ避けて、朝晩に動く工夫を。

薬の飲み忘れは誰にでもあります。でも、二度分を一気に飲むのは絶対NG。飲み忘れに気づいたら、普段通りの時間に1回だけを飲むこと。また、市販薬やサプリメントを追加する場合も、必ず事前に医師に伝えてください。特にビタミンAを多く含むサプリは、アシトレチンとの重複で過剰症を起こす恐れがあります。

身近な疑問に答えるQ&Aスタイル

身近な疑問に答えるQ&Aスタイル

  • 「汗をかくと薬の効果が落ちる?」→汗や運動量でアシトレチンの薬効が直接変わることはありません。むしろ、適度な運動はストレス軽減や睡眠の改善につながり、結果的に乾癬自体が落ち着くことが多いです。ただし、発汗による皮膚の乾燥は進むので、シャワー後の保湿は必須。
  • 「生理周期で副作用が変わる?」→女性はホルモンバランスの変動で乾癬自体が悪化しやすい時期もありますが、アシトレチンの副作用が特に生理前後で強くなる科学的根拠は少ないです。しかし、個人差はあるので、調子が悪い時期は医師に相談を。
  • 「市販の保湿剤じゃ不十分?」→基本的に問題ありません。ワセリンや尿素配合クリームなど、身近な保湿グッズも皮膚の乾燥防止に役立ちます。気になる時は病院から追加でもらうと良いです。
  • 「家族が風邪を引いた時は?」→免疫抑制作用はあまり強くないですが、高用量で長期使用の場合は感染症にかかりやすくなる可能性も否定できません。家族内感染が気になる場合は、マスクや手洗いで予防を徹底してください。

治療を進めるうちに、「こんなときどうする?」という具体的なシーンがどんどん出てきます。一つひとつ、気負わずに主治医と話し合ってください。焦らず、でも放置せず。乾癬の治療は、本人が納得できるペースと方法が一番。あなたの症状や生活パターンに寄り添ったバランスを、少しずつ見つけていきましょう。

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