カペシタビンは体内で5‑フルオロウラシル(5‑FU)に変換される経口プロドラッグです。日本での承認は2001年で、主に転移性大腸がん、進行性乳がん、胃がんの化学療法で使用されます。投与は1日2回、1サイクルは14日間投与後7日間の休薬です。経口投与の利点は入院期間が短く、生活の質(QOL)を保ちやすい点です。
カペシタビンと同じくフルオロピリミジン系に属する薬剤は、代謝経路や副作用に違いがあります。以下に代表的な代替薬を簡単に紹介します。
薬剤名 | 投与経路 | 主な適応がん種 | 代表的副作用 | 承認年(日本) |
---|---|---|---|---|
Zocitab(カペシタビン) | 経口 | 転移性大腸がん、進行性乳がん、胃がん | 手足症候群、下痢、骨髄抑制 | 2001 |
5‑フルオロウラシル(5‑FU) | 静脈注射/皮下投与 | 大腸がん、胃がん、膵臓がん | 口内炎、紫斑、骨髄抑制 | 1962(日本) |
テガフール | 経口 | 胃がん、膵臓がん、乳がん | 手足症候群、食欲不振、肝機能障害 | 1999 |
S‑1 | 経口(テガフール+ジホップロン+オキサリプラチン) | 胃がん、膵臓がん、非小細胞肺がん | 手足症候群、白血球減少、肝機能障害 | 2005 |
トリフルリジン/チピラシル(Lonsurf) | 経口 | 進行性大腸がん、胃がん | 血小板減少、倦怠感、下痢 | 2015 |
カペシタビンは体内で5‑FUに変換される点で他のフルオロピリミジン系薬剤と共通していますが、代謝速度や血中濃度曲線が異なるため、臨床的な選択肢が分かれます。
副作用は薬剤ごとに出やすい症状が偏ります。以下に代表的な副作用と対策をまとめました。
薬剤 | 主な副作用 | 対策例 |
---|---|---|
Zocitab(カペシタビン) | 手足症候群、下痢、骨髄抑制 | 定期的な血液検査、保湿クリーム使用、電解質補正 |
5‑FU | 口内炎、紫斑、骨髄抑制 | 口腔ケア、ビタミンB群補給、投与間隔調整 |
テガフール | 手足症候群、肝酵素上昇 | 頻回の肝機能検査、症状が出たら投与減量 |
S‑1 | 白血球減少、手足症候群 | G‑CSF投与、皮膚保護 |
トリフルリジン/チピラシル | 血小板減少、倦怠感 | 血小板輸血、休養期間設定 |
以下のチェックリストは、医師と患者が共同で治療方針を決める際の指標です。
上記項目を総合的に評価したうえで、カペシタビンと代替薬のどちらが患者にとってベストかを判断します。
効果は腫瘍の種類と患者の体質に左右されます。5‑FUは短時間で高濃度になるため急性腫瘍に有効ですが、通院が必要です。カペシタビンは経口で持続的に5‑FUへ変換され、生活の質を保ちやすい反面、手足症候群が出やすいです。医師はこれらを踏まえて選択します。
症状が軽いうちは保湿クリームと冷却療法を毎日行い、痛みが強い場合は投与量を減らす、または投与スケジュールを調整します。医師の指示でビタミンEや抗炎症薬を併用することもあります。
主に胃がんと膵臓がんで高い奏効率が報告されています。加えて、非小細胞肺がんや食道がんでも臨床試験で有望な結果が出ています。適応は医師の判断により決まります。
5‑FUに対する耐性がある腫瘍でも、トリフルリジンは別の代謝経路で作用するため、一定の効果が期待できます。特に進行性大腸がんで標準治療が効かないケースに使用されます。
日本では、適応が認められた大腸がん・乳がん・胃がんの化学療法に対して保険が適用されます。処方箋と診断書が必要で、自己負担は保険の規定に従います。
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