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自己負担費用:ジェネリック薬がある場合とない場合の経済的負担
中原 美紗

中原 美紗

日本で薬を買うとき、あなたはどれくらいのお金を払っていますか?同じ効果の薬でも、ブランド薬とジェネリック薬では、自分のポケットから出る金額が大きく違います。ジェネリック薬がないと、月に数千円、年間で数万円の無駄な出費が生まれます。でも、ジェネリック薬を使えば、その負担は10分の1以下に減ります。

ジェネリック薬は、本当に安いのか?

ジェネリック薬は、特許が切れたブランド薬と同じ有効成分を使い、同じ効果と安全性を持つ薬です。でも、価格はどれくらい違うのでしょうか?アメリカのデータを見ると、ジェネリック薬の平均自己負担額は2023年で7.05ドル(約1,000円)でした。一方、ブランド薬は27.10ドル(約3,800円)--つまり、約4倍の差があります。

しかも、ジェネリック薬の93%は、自己負担額が20ドル(約2,800円)以下で済んでいます。82.4%は20ドル以下、98.8%は50ドル(約7,000円)以下。つまり、ほとんどのジェネリック薬は、コンビニの飲み物1本より安い価格で手に入ります。

ジェネリック薬がなかったら、どうなる?

エファヴィレンツ、エムトリシタビン、テノホビルというHIVの治療薬は、ジェネリックが登場する前、1か月分で約1,000ドル(約14万円)かかりました。ジェネリックが出てからは、65ドル(約9,000円)に。94%の価格低下です。1年で131億ドル(約1兆8,000億円)の医療費削減になりました。

ED治療薬のシルデナフィル(バイアグラ)も、ジェネリック登場前は1錠あたり49.90ドル(約7,000円)。ジェネリックでは3.07ドル(約430円)に。94%の値下げです。コレステロール薬のロスバスタチンは、ウォルグリーンで110ドル(約15,400円)だったのが、オンライン薬局では7.50ドル(約1,050円)--93%の差です。

これらは単なる例ではありません。ジェネリック薬がなければ、慢性疾患の患者は薬をやめざるを得ません。糖尿病、高血圧、高脂血症の薬が手に負えなくなれば、病気は悪化し、入院や手術が必要になる。その結果、医療費はさらに膨らみます。

高額な医療費に圧倒される患者と、安価なオンライン薬局の対比。

ジェネリック薬なのに、なぜ高い?

ジェネリック薬は安いはずなのに、実際には「高い」と感じるのは、なぜでしょうか?

一つの原因は、薬局の価格設定です。同じジェネリック薬でも、ドラッグストアとオンライン薬局では価格が大きく異なります。パントプロゾール20mgは、アルベルツォンで44ドル(約6,200円)ですが、オンライン薬局では9.20ドル(約1,300円)。79%の差があります。

さらに、メディケア(日本でいう健康保険)の加入者でも、コストコより高い金額を払っているケースが多数あります。2018年のデータでは、90日分の処方で、メディケアの支払いがコストコの価格より29.4%も高かった。保険に加入しているのに、無保険の人より高く払っている--これは、システムの大きな問題です。

なぜこんなことが起きるのか?その理由は「価格の非透明性」です。薬の価格は、製薬会社→卸売業者→保険会社→薬局→患者、と複数のステップを経て決まります。その中で、保険会社や卸売業者が「リベート」を取って利益を上げている。患者は、薬の本当の価格を知らずに、高い金額を払わされているのです。

保険設計が、患者を苦しめる

多くの健康保険プランは、ジェネリック薬を「一般薬」の安い階層に置くべきですが、実際には「ブランド薬と同じ高い階層」に分類しているケースがあります。その結果、ジェネリック薬を処方されても、自己負担額はブランド薬と変わらない--あるいは、むしろ高くなることがあります。

2011年から2019年の分析では、ジェネリック薬を高価格階層に移した保険プランでは、患者の年間支出が135%も増加しました。一方で、薬の平均価格は38%下がっていたのです。つまり、薬は安くなっているのに、患者の負担は増えている。これは、保険会社の設計ミスです。

さらに驚くべき事実があります。ジェネリック薬の自己負担割合は、ブランド薬よりも高いのです。アメリカの調査では、ジェネリック薬の41.8%の費用を患者が直接負担していましたが、ブランド薬は32.1%。なぜ?ジェネリックは「安いから保険がカバーしなくていい」と考える保険会社が多いからです。でも、安い薬でも、毎日飲むと数万円になります。患者が負担すべきではない金額を、無理に負わせているのです。

家族が慢性疾患の薬をジェネリックに切り替えて経済的負担が減る様子。

どうすれば安く買える?

ジェネリック薬を安く買うには、3つの方法があります。

  1. オンライン薬局を使う:Medicare-CostcoのデータやNIHの研究では、オンライン薬局は小売薬局より75〜76%安いことが証明されています。同じ薬を、半額以下で手に入れられます。
  2. 90日分を一括で処方してもらう:30日分を3回買うより、90日分を一度に処方してもらうと、単価が下がります。ただし、保険が90日分を高価格でカバーするなら、コストコやオンライン薬局で購入した方が安い場合が多いです。
  3. 保険の薬剤リスト(フォーミュラリー)を確認する:あなたの保険がどのジェネリック薬を「安い階層」に置いているかを調べてください。保険のウェブサイトやカスタマーサポートに「ジェネリック薬の自己負担額が一番低いのはどれか?」と聞いてみましょう。

ジェネリック薬は、未来の医療を支える

過去10年間で、ジェネリック薬とバイオシミラーは、米国で4,450億ドル(約63兆円)の医療費削減を実現しました。これは、10年前の3730億ドルから大幅に増加しています。これからも、多くの大手ブランド薬の特許が切れていくため、さらに大きな節約が見込まれます。

でも、その価値を患者が実感できないのは、システムの問題です。製薬会社や保険会社、卸売業者が、患者の負担を増やす仕組みを維持しているからです。ジェネリック薬は「安くて効く」薬です。しかし、価格が見えない、保険が適切に機能していない、薬局が適切な価格を提示しない--この3つの壁が、患者の経済的負担を増やしています。

あなたが今、ジェネリック薬を飲んでいるなら、それは正解です。でも、その価格が本当に安いのか?保険のカバーは適切なのか?オンライン薬局やコストコの価格を一度見てみましょう。もしかしたら、今払っている金額の半分以下で、同じ薬が手に入るかもしれません。

薬は命を守るものです。でも、それなのに、患者が経済的に追い詰められるのは、おかしいことです。ジェネリック薬は、その問題を解決する鍵です。ただ、それを正しく使うには、情報と行動が必要です。

ジェネリック薬は安全ですか?

はい、ジェネリック薬は安全です。アメリカのFDAや日本の厚生労働省は、ジェネリック薬がブランド薬と同じ有効成分、同じ量、同じ効果を持つことを厳しく確認しています。製造工場も同じ基準で監査されます。実際、ジェネリック薬の多くは、ブランド薬の製造会社が同じ工場で作っています。

ジェネリック薬に切り替えたら、効き目が弱くなることはありますか?

ほとんどの場合、効き目は同じです。ただし、まれに、体質や他の薬との反応で、わずかな違いを感じる人がいます。その場合は、医師に相談して、元のブランド薬に戻すことも可能です。でも、そのようなケースは全体の1%未満です。多くの患者は、ジェネリック薬に切り替えても、全く同じ効果を実感しています。

オンライン薬局は安全ですか?

信頼できるオンライン薬局は安全です。米国では、VIPPS(Verified Internet Pharmacy Practice Sites)の認証を受けた業者だけが合法的に販売できます。日本では、厚生労働省の認可を受けた薬局がオンライン販売を行っています。認証マークや公式サイトのURLを確認し、価格が異常に安い業者は避けてください。

ジェネリック薬は、保険が適用されないことがありますか?

日本の健康保険では、ジェネリック薬は原則として適用されます。ただし、医師が「ブランド薬のみを処方」と書いた場合(「ジェネリック使用不可」と記載)、保険適用外になることがあります。その場合は、医師に「ジェネリックでも大丈夫ですか?」と尋ねてください。多くの医師は、ジェネリック薬を推奨しています。

ジェネリック薬を買うと、医療費が下がるのですか?

はい、個人の自己負担は下がります。そして、社会全体の医療費も減ります。ジェネリック薬が普及すると、患者が薬をやめずに済むため、病院の受診や入院が減ります。その結果、医療システム全体の負担が軽くなります。ジェネリック薬は、個人の財布だけでなく、国の医療財政を守る重要なツールです。

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