札幌ビタミンC薬局
トフラニール(イミプラミン)の効果・副作用と安全な使い方
志保 野口

志保 野口

誰もが一度は聞いたことがある「抗うつ薬」。だけど実際にどの薬がどんな風に効くのか、名前は知っていても深く知らない人は多い。そんな中、日本でも長く使われ続けている薬「トフラニール」(一般名:イミプラミン)がどんな薬なのか、うつ病に悩む人や大切な人を支えたいと思っている人にこそ知ってほしい。わたし自身、家族や友人が悩んだ経験があるから、現場のリアルと一緒に、とことんリアル目線で伝えていきたい。今にも膝に頬を乗せて話したくなるくらい、率直に書くね。

トフラニールとは?―歴史・特徴・基本のメカニズム

トフラニールは、1960年代から日本で使われている抗うつ薬の元祖的な存在。成分名は「イミプラミン」。『三環系抗うつ薬』というタイプに分類されていて、実は現在でも保険適用でしっかり処方されている。そもそもトフラニールが登場する前、うつ病は根性や性格の問題にされがちだった。でも、この薬が登場して、脳内の神経伝達物質の働きがうつ病に関係することが広く知られるようになった。

仕組みはシンプル。人の脳には「セロトニン」と「ノルアドレナリン」という、気分や感情を左右する物質がある。この2つが減るとうつ病の症状が現れることがわかってる。トフラニールは、その2つを増やす方向に脳の働きを調節してくれる。例えば、雨の日にどうしても気分が沈む…そんな時の自分に寄り添うような薬かもしれない。

トフラニールの登場によって、これまで「心の風邪」なんて呼ばれていたうつ病の社会的な認識も大きく変わった。今では若い人だけじゃなく、高齢の方へも処方例がある。古い薬だけど、「これでしか良くならない」と感じている患者さんがいるのも事実。

ちなみにトフラニールは、うつ病だけじゃなく、パニック障害や夜尿症(こどものおねしょ)への適応も持つ。名古屋市のクリニックでもいまだによく出されてる薬のひとつだから、過去のものなんかじゃ全然ない。

下の表は、日本国内で処方される主な三環系抗うつ薬の一部と、その特徴をまとめたもの。

薬の名前主な適応症特徴
トフラニール(イミプラミン)うつ病、夜尿症最初の三環系。強い鎮静・抗コリン作用
トリプタノール(アミトリプチリン)うつ病、慢性疼痛強い鎮静作用・副作用やや多め
ノリトレン(ノルトリプチリン)うつ病やや副作用が少なめ

どんな時に使うの?―適応疾患と現場の実際

トフラニールが実際に使われるのは、うつ病やうつ状態がメイン。ただ、それだけじゃない。たとえば小児期・思春期の夜尿症、大人のパニック障害や反復性の神経性疼痛(ストレスが体に現れる時の痛み)にも使われることがある。それぞれの使われ方を、具体的に紹介するね。

  • うつ病・うつ状態:効果発現までおよそ2~4週間かかる。焦らず待つのがコツ。症状の波が強い人には、気持ちが戻るターニングポイントになることも。
  • 夜尿症:6歳以上の子どもに限られる。服薬で少しずつ夜のおねしょが減っていくケースが日本全国で報告されている。
  • パニック障害:パニック発作に悩む人へ主治医の判断で処方されることがある。

実際の現場では、最近開発された「SSRI」などの新しいタイプの抗うつ薬が主流になりつつあるけど、「新薬でうまくいかない!」という人にはトフラニールが再び登場することも多い。特に、昔からこの薬で落ち着いていた人は、他の薬では不安が強くなることもあるから。

一方、高齢者や持病のある人、飲んでいる薬が多い人に対しては、慎重に使われている。これは副作用が少し強いから(詳しくは次の章で書くね)。

ちなみに私の友人にも、何年も「うつ」が良くならなくて、専門医と一緒に色んな薬を試したけど、結局トフラニールに戻してから気分の波が落ち着いた、って人がいる。本当に人によって薬の合う・合わないは違う。選択肢が多い時代だからこそ、自分の状態もしっかり伝えられると良いなって最近よく感じてる。

知っておきたい効果と副作用

知っておきたい効果と副作用

では、どんな効果・副作用があるか、まとめてみるね。トフラニールは、脳内の「セロトニン」「ノルアドレナリン」の再取り込みをがっちりブロックするおかげで、気分が沈む・朝動けない・好きだったことが楽しめない……そんな症状を和らげていく。体感としては、「何となく頭が重い」「世界が灰色に感じる」そんな暗い気持ちが、2~4週間ほどでふわっと薄くなってくる人が多い。

でも、副作用も出やすい。特に「口が渇く」「便秘」「眠気」「立ちくらみ」「尿が出にくい」「心拍の変化」など、抗コリン作用とよばれる症状が結構多め。若い人ほど「乾く~!」と感じるらしいし、逆に65歳以上だと便秘やめまいが悪化しやすいというデータもある。あと、まれに攻撃性・気分のハイ(躁状態)が強くなる人もいるから、家族や身近な人も薬の飲み始めはちょっと注意して見てあげて。

名古屋市のとある精神科で、トフラニール(イミプラミン)の副作用アンケートをみたことがある。大体7割の人が何かしら感じていたけど、そのうち我慢できないほどの重い副作用として医師に相談したのは1割以下だった。もちろん、すごく辛い人もいるので、つらくなった時はためらわずに早めに病院に相談を。

副作用対策として知っておきたい主なポイントをまとめると――

  • 水分をこまめにとる(口渇対策。当たり前だけど意識しないと忘れる)
  • 繊維質の多い食事と軽い運動(便秘予防にはこれが一番)
  • アルコールや眠気を強める他の薬は避ける
  • 新しい薬を追加する場合は、必ず医師と相談
  • 急にやめない(離脱症状対策。焦らず少しずつが鉄則)

トフラニールは、少なめの量からゆっくり増やすのが定番。いきなり高用量を飲むと副作用が強くなりやすいので、我慢大会にならないよう、コツコツ地道に体を慣らすイメージが合ってるかも。

「副作用が怖い」と感じる人は多い。でも、うつの症状が辛い時は、それをゼロにすることだけが治療ではなくて、今の苦しさを減らすための手段だともう少し前向きに捉えていいんじゃないか、とわたしは思ってる。うつ病は我慢するほど悪化することもあるから、「薬で少しでも日々の辛さが和らぐ」こと自体が十分に価値のある一歩だ、と言いたい。

安全な使い方・生活で意識したいこと

実際にトフラニールを始めたら、どんなことに気をつけて日々を過ごしたらいいんだろう?身近な体験も合わせて、リアルなノウハウをまとめておくね。

  • 必ず医師の指示通りに服用する。飲み忘れたら、気づいた時にすぐ飲む(ただし、2回分まとめて飲まない)
  • 最初の2~4週間は無理をせず、精神的に落ち着ける環境作りも大切
  • 日中の眠気や注意力の低下にご注意。できるだけ危険な作業や車の運転を避けて。
  • 便秘や口渇は我慢せず、水分や食物繊維を意識してみる
  • 定期的に通院して、副作用や困ったことは遠慮せずに相談
  • 妊娠・授乳を考えている人、持病のある人は必ず主治医に申告
  • ほかの薬との飲み合わせ(特に抗ヒスタミン薬や降圧薬)は要注意

いちばん大事なこと。それは「自分ひとりで抱え込まない」こと。薬を使っている=弱い、ではない。むしろ「本気で回復したい」と思っている証拠だから、支援してくれる人たちに甘えていいと思う。うちの光一も、以前わたしが気分の落ち込みで辛かった日、些細なことでも「調子はどう?」と聞いてくれた。その一言だけで救われたことがあるから、周りに頼ること・正直に伝えること、やってみてほしい。

あと意外と知らない人が多いけど、トフラニール服用中に避けたほうがいいのは、運動部のきついスポーツ・サウナや長風呂。体温調節に影響が出やすくなるので、熱中症リスクがちょっと上がる(特に名古屋の蒸し暑い夏とかね!)。「何だか体がだるい」「汗が出ない」なんて時は無理せずすぐ休んでね。

毎日、少しでも自分が回復しているサインを探してみて。例えば「今日は近所まで出かける気になった」「朝ごはんを食べられた」…そんな小さな変化でも、薬+生活リズムの安定によって出てくることが多い。「よし、ちょっと進んできたかも」と感じたら、きっと次の一歩も大丈夫。

薬の名前だけ知っていたらちょっと怖いイメージ。でも実際の現場では、トフラニールがあることで救われている人が大勢いるのも事実。自分や大切な人の選択肢として、正しく知識を持っておきたいね。

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